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コーヒーの味わいを数値で表す

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コーヒーの味わいを数値で表す
コーヒーを淹れるときに「コーヒーの美味しさが数値化出来ればな。。」と感じることは皆様ありますよね。

味は主観によるところも多いので「絶対美味しいコーヒーの数値」というのはありませんが、「コーヒーの濃度を数値化する」ことが出来る機器というのが存在します。

今回はコーヒーの濃度(TDS)から味のバランスの指標となる収率(Yield)を導き出して、抽出の手助けとなる方法をご紹介します。

目次 

1.機器の紹介

2.TDSとは

3. 収率(Yield)とは

4.収率の計算方法

5.収率のコントロール

6. 収率の活用方法



1.機器の紹介

プレジャーコーヒーで使用しているのは ポケットコーヒー濃度計 PAL-COFFEE (BX/TDS)

こちらの機器でTDS値を計測することができます。 詳しくはこちら(PDF)

お値段は約3万円。。気軽に試せるものではありませんが、お値段以上の活躍はしてくれます。

2.TDSとは

TDSとは総溶解固形分のことで、コーヒーに溶けている成分の濃度をを示します。 ざっくり言うと数値が大きければ濃いです。

ここで注意なのは[TDS値が高い≠美味しい]ということです。

ただし理想値というものはあり、ドリップコーヒーの場合1.15~1.35という数値の範囲が理想的なバランスとされています。

エスプレッソコーヒーはご存じの通りとても濃厚なので、理想値は跳ね上がった数値となりますが、8%~11%前後がレギュラーなエスプレッソの基準とされていますが、7.5%~9.5%という方もいます。

しかし数値が泡や微粉末の関係もありかなりブレてしまうので、ここではドリップコーヒーに絞って解説させて頂きます。

 味わいに関して重要なのはこの後に紹介する収率であり、こちらはコーヒーの美味しさに深く関わってきます。

3.収率(Yield)とは

収率はコーヒーの粉から液体にどれだけ成分が溶け出したかの割合ですが、収率は一般的に18%~22%が理想とされています。

収率が低いと酸味を感じやすく、収率が高いと苦みを感じやすい傾向にあります。 「上手く淹れられたかなー」というコーヒーはほぼほぼこちらの18%~22%の収率で収まっていることが多く、こちらは抽出の安定の目安となりそうです。

4.収率の計算方法

こちらの計器を使っても収率がポンっと出てくるわけではなく、計測したTDS値を使って収率を導き出します。

コーヒー液の量×濃度÷コーヒー豆の量=収率

作ったコーヒーの量×TDSの数値の1/100÷使ったコーヒー豆の量=収率 が導き出せます。

何例か上記の計算式に当てはめてみます
例A
200ccのコーヒーを13g使ってTDS値が1.20だった。

200×0.012÷13=18% 
液量×TDS÷豆量=収率   →理想値
例B 200ccのコーヒーを15g使ってTDS値が1.20だった。

200×0.012÷15=16% 
液量×TDS÷豆量=収率   →抽出不足

AとBで比べると2g多く使ったのに同じ濃さであった場合は、豆を多く使っている?のほうが抽出不足という結果になりました。 

仮に15g使ってTDS値が1.50だった場合は

200×0.015÷15=20%
液量×TDS÷豆量=収率 となり、18~22%のど真ん中の20%という結果になります。

ただし必ずしもどちらが美味しいということではありません。

少し極端な例で出してみます。  
例C 500ccのコーヒーを36g使ってTDS値が1.45だった。

500×0.0145÷36=20%
液量×TDS÷豆量=収率   →理想値
例D 500ccのコーヒーを50g使ってTDS値が2.0だった。

500×0.02÷50=20%
液量×TDS÷豆量=収率   →理想値

どちらも理想値となりましたが、やはり「豆量は全然違うけど理想の収率だからどちらも美味しい」とも限りません。

 Cはベーシックな抽出量なので美味しい可能性がグンと高まりますが、Dは抽出量に対しての豆量がかなり多いので、アクロバティックな抽出方法でないとおそらくTDS値は3%を上回り、かなりの濃さで仕上がります。

仮にTDSが3%だった場合は
500×0.03÷50=30%
液量×TDS÷豆量=収率   →過抽出 

という結果にはなるのですが、繰り返しになりますが収率が適正なほうが必ず美味しいとは断定できないので、あくまで目安となります。 

 5.TDSと収率のコントロール

それでは同じコーヒー豆をいつもと同じ量使ってTDSと収率をコントロールするにはどうすれば良いのか。

メッシュを細かくする→TDS、収率ともに上がる。   メッシュを粗くする→TDS、収率ともに下がる。

お湯の温度を上げる →TDS、収率ともに上がる。   お湯の温度を下げる→TDS、収率ともに下がる。

抽出時間を長くする →TDS、収率ともに上がる。   抽出時間を短くする→TDS、収率ともに下がる。

お湯の量を増やす  →TDSは下がり、収率は上がる。 お湯の量を減らす   →TDSは上がり、収率は下がる。

粉の量を増やす   →TDSは上がり、収率は下がる。 粉の量を減らす  →TDSは下がり、収率は上がる。
ただしコーヒーは収率をコントロールするのが目的ではなく、いかに美味しい成分を取り出すかなので、渋みや雑味を増やして収率を合わせても逆効果となりますので、あまり数値にとらわれない事も大事です。

 6.収率の活用方法

ここまで何度も「収率やTDSは目安」と書いてきましたが、それではどのように活用するか。

一つは抽出による味のブレの矯正であり、
例えば12gのコーヒーを90℃のお湯で3:00で180cc抽出したケースで

「TDSが1.30で収率が19.5%でとても美味しいコーヒーになったのでこちらの味を安定して抽出しよう」と考えた場合に
こちらの計器を使えば設定したゴールに最短距離で目指していけるので、美味しかったコーヒーは極力こちらを使って記録していけると良いと思います。

ただし同じ条件で抽出してもお湯の注ぐスピードや、前半に多く注ぐのか、後半に多く注ぐのか等で同じ数値でも味わいはガラッと変わってしまうので、動画を撮りながら検証するのがベストと思われます。

もう一つはプレジャーコーヒーでは業務用コーヒーメーカーの味の設定に活用しています。

大量抽出が可能なコーヒーメーカーでは1000ml作るときと500ml作るときを同じ味に仕上げたいときに活躍します。


  
一杯ごと抽出が可能なタイプでは豆量や豆の挽き方をコントロールして理想的な設定を導き出せます。

プレジャーコーヒーのコーヒー豆をご使用のお店様にはこちらの計器を使って味の設定にお伺いさせていただくことも可能となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。(現在は都内近郊のみ)

まとめ

・TDSとは濃度を数値化したものであり、数値が大きいほど濃い。

・TDSの理想値はドリップコーヒーの場合1.15%~1.35%とされている。

・収率とはコーヒーの成分がどれだけ取り出せたかを表すし、味わいのバランスの指標となる。

・収率の理想値は18%~22%が理想とされている。

・収率はコーヒー液の量×濃度÷コーヒー豆の量=収率  で導き出せる。

・TDSや収率が理想値でも必ず美味しいというわけではない。