業務用エスプレッソマシンとの違い セミオートマシン編
本日は街のカフェにあるような業務用エスプレッソマシンと、デロンギの全自動エスプレッソマシンECAM23120の違いについてお届けします。
個人店舗で業務用マシン検討中の方向けの内容です。
まずはデロンギのベストセラーモデルであるECAM23120が執筆時(2021.8/23)の段階での価格が最安値で約6万円に対して、まずは日本における業務用エスプレッソマシンの3大ブランドである ラ・マルゾッコ シモネリ チンバリ と比較してみましょう。
De'Longhi ECAM23120BN 約6万円
ラ・マルゾッコ Linea2 約200万円
シモネリ アウレリアⅡT3 約180万円
ラ・チンバリ M23UP-DT/2 約120万円
どれもブランドの中で中間スペックのものを抜粋させて頂きましたが、価格差が20倍~30倍以上します。
この差はどこから来るのかというの紹介させて頂こうと思うのですが、実は見た目でハッキリ違いが分かるように、デロンギのECAM23120はボタン一つで豆挽きから抽出まで自動の「フルオート」に対して、こちらで紹介した3機種は全て「セミオートマシン」と呼ばれる自身で粉を詰めてタンピングして、抽出ボタンを押してという作業を必要とするマシンです。
なので比較対象としては別記事に紹介する業務用の全自動エスプレッソマシンになるとは思うのですが、簡単に業務用セミオートマシンと比較してセミオートマシンの良いところを挙げると
①全自動より濃厚・濃密なエスプレッソが抽出出来る。
ほとんどのマシンが粉を詰められる量が20gはありますので、最大14g~15gのデロンギ全自動より濃厚なエスプレッソが抽出できます。
②スチームのパワーが半端ない。
個人的に一番差が出てるなと思うのがミルクを温めるスチームのパワーだと感じます。
ECAM23120が1分掛かる量であれば15秒で出来るのではないでしょうか。 さらに強い撹拌力でよりきめ細かい泡になり、短時間でのスチームなのでミルクの薄まり感はECAM23120よりかなり少ないです。
以前関係者に「全自動マシンのスチームパワーはこれ以上出せないのか?」的な事を聞いてみたら「技術的には可能だが安全最優先で大幅にパワーを高める予定は無い」とのことでした。
かなり納得。そりゃ家庭用ですもんね。。
業務用マシンのように手に触れてヤケドしても自己責任というわけにはいかないですしね。 ちなみにECAM23120のスチームは手のひらでずっと受けられるくらいの熱さなので、ヤケドの心配はありません!
③一時間あたりの抽出能力が高い
業務用マシンはやはりお値段相応の耐久性もあるので、絶え間なくの連続抽出が可能で、1時間あたり200杯もの安定した抽出が可能です。
ECAM23120も連続抽出自体は可能ですが、内部温度がかなり上がってしまうので、連続使用するとかなり高温での抽出となってしまい、味にバラつきが出やすいです。 現実的には30杯~40杯くらいでしょうか。
逆にセミオートマシンのデメリットを挙げると
①200V電源必須。消費電力は3000Wオーバー
100Vの業務用もありますが、業務用セミオートマシンの恩恵を最大限に発揮出来るのはやはり200Vモデルです。
機種によっては最大消費電力9000Wというものもあり、電気代がとんでもないことになりそうです。
②作り手によって味がかなり変わる。
ここはメリットと捉えられなくもないのですが、いわゆる「バリスタ」と呼ばれる抽出のスペシャリストがいないとマシンのポテンシャルを引き出すことは出来ず、マシンだけ最高級でも全自動マシンのようにボタンを押すだけとはいかないので、人材の確保・育成が求められます。
③修理費用が高い
消耗品の交換程度であれば良いのですが、実際マシンが動かなくなってしまった場合などは出張修理となるはずですが、5万円で済めばラッキーという感じで、10万円オーバーの修理費用も覚悟が必要です。
他にも比較できる部分は多々ありますが、家庭用の全自動と業務用のセミオートマシンで悩む方はあまりいらっしゃらないと思いますので、簡単な紹介に留めさせて頂きます。
個人的に業務用セミオートマシンを選ぶべき方は[究極の一杯を提供したい]という方と[専任のバリスタを配置出来る]というお店が向いているのではないかと考えます。